2020年 01月 05日
『次の世界大会を制するのは…○○国?』
リトアニアのエヴェンタス.グザウスカス選手は、3年前の世界ウェイト制大会の準々決勝において、現役世界王者の島本選手を相手に本戦から押して、予期せぬ間合いからの上段蹴りを見せたりして警戒させ、攻撃力が強く手数が多かったため、相手の息を切らせるほどの健闘ぶりを見せながら、延長2回で惜しくも敗れたということを話しました。
エヴェンタス VS 島本
しかし、彼の凄さはそれだけではなかったですね。
ヨーロッパ大会のビデオを見ると、その強さがわかりました。
接近戦のみならず、遠い距離からぐんと速い突きがボディに襲ってくる。回し蹴りのみならず、いろんな上段もどんな距離でも出せる。
膝蹴りもだせる。
接近戦に持ち込むと肩への肘打ちをかます。
要するにオールラウンドプレイヤーなのですね。
離れてよし、接近してよしという盤石さを備えていたのですね。
僅差判定というのはほとんどなく、攻撃力の高さゆえに、相手が完全に疲弊しているのが素人でもわかるほどです。
ゆえにあの島本選手を世界ウェイト制においてあそこまで追い込んだのですね。
こういう強さは、彼だけでなく他のリトアニアの選手の多くが備えていることなのですね。
だから警戒が必要です。
それで彼の真価が問われたのは5回戦でした。
相手は前年の全日本大会で準優勝した山本和也選手。
やはりこの実績をみれば、山本選手が勝つのではないか、と思われた試合でした。
山本和也
山本選手は自身が勝つセオリーがわかっていたようで、蹴りのすぐ後に、鉤打ちをするのですね。
これで相手のスタミナを奪うという作戦でいたのでしょう。
その技で一本勝ちしたこともありましたね彼は。
しかし、エヴェンタス選手はひるまず、果敢に打ち合いに臨み、決して退かない。
やはりどちらも突き蹴り両方がパワフルでさすが、と思わざるをえなかったですね。
時折、膝蹴りを上段にかまして警戒させる、一進一退のいい試合でした。
エヴェンタス選手の得意とするところは、突きからの膝蹴りの連打ですね。
相手が、スタミナ切れしかかっているところで、果敢にそれをされたらスタミナトレーニング不足の選手ならひるんで負けてしまいますが、やはり全日本大会準優勝の山本選手ゆえに、打ち合いに臨み、本戦引き分け。
そこで山本選手は負けじと、上段蹴りをぶちかまします。
相手がそんな強豪でしかも延長戦において、スタミナが減っているときにそんな芸当ができるなんて…かなりハードな練習してきたな、と思わせるに十分でした。
そして果敢に打ち合いに持ち込む。
一瞬エヴェンタス選手がひるんだので、山本選手の勝ちか?と思われましたが、そこからが彼の真骨頂。
スタミナ切れの状態でも、力を振り絞って付きからの膝蹴り連打をかますと、山本選手は押し返すことができないまま延長戦終了。
山本 VS エヴェンタス
エヴェンタス選手の圧勝になりました。ここまでやるか茶帯なのに!と誰もが驚嘆したでしょう、全日本大会準優勝者を初出場選手が倒してしまうのですから。
しかし、そのことの代償が大きかったのは明白でした。
やはり足に多大なダメージをおってしまったのでしょう。
次の準々決勝では、外国人最右翼のマシエ.マズール選手と対戦し、本戦で一本負けを喫するのです。この試合では、中段突きの一本負けということになっていますが、試合のビデオを見るとわかるように、中段突きの前に当たった下段蹴りが後を引いて中段突きが刺さったときに倒れたので中段突きということになっていますが、蹴りが効いてしまったのでしょう。
足を押さえてうずくまっているのがわかります。
エヴェンタス VS マシエ
しかし、周知のようにこの大会では島本選手が優勝します。
その2年前には彼が勝っていると思われてもおかしくないほどの健闘ぶりをしていた。
それなのに、差が出てしまっていたのですね。
その差を埋めるべく彼はとことん修練を積んで、次の世界ウェイト制、あるいは世界大会に臨んでくるでしょう。
のみならず、リトアニアには彼のように接近して良し、離れて良しというオールラウンドな組手をしているのみならず、技がどれも重く、スタミナ切れもなく、打たれ強いという選手がゴロゴロいるわけです。
しかもリトアニア人は概して高身長な人がほとんどで、だれもが190センチ前後の人ばかりなのです。
リトアニア選手団(新極真会)
これは警戒しなくてはなりません。
次の世界大会を制するのはリトアニアかもしれません。
ここでまた、大山総裁の言葉を引用しましょう。
大山総裁
「次の世界大会を制するのは間違いなく旧ソ連。日本は絶対に無理だよ!」
リトアニアも旧ソ連の1つでした。
経済があまりうまくいっていない国の民は、めげない選手が多いのですね。
精神的にかなり強い。
しかし、日本は豊かだからハングリー精神がない、とは言い切れないですね。
そういう人もいることはいますが、それだけで一般化はしてみるべきではないのです。
空手母国を守る、という使命感に燃えたときのナショナリズムはどこの国も持つことはできないのです。
逆に豊かだからこそ、その恩恵に浴して、いろんな食物を食べ、いろんなサプリをとることで、強くなれるのです。
貧しすぎていてはその恩恵に浴すことはできないですから、其のプラス点については大いに享受すべきでしょうし、大いに感謝すべきでしょう。
卑下すべきではないのです。
その良さを生かして、次の世界大会において、日本人選手へ期待をしているのです私は。
今回は之にて終了いたします。
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ありがとうございました。
失礼いたします。
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by kakattekoih
| 2020-01-05 18:59
| 新極真会レポート